白銀の女神 紅の王Ⅱ




しかし――――――


「エレナの居場所は俺の傍しかない。」


傲慢ともいえる言葉。

だが、それが事実だ。

実の親に捨てられたエレナのよりどころはこの王城しかない。

一歩この王城から出れば、知らない世界が広がる。

そのため、後宮から出て行ったとしても、王城からは出ていくことはない。


エレナは王城のどこかにいる……




「縁談の話はなしだ。俺の前に二度と現れるな。」


ジュゼットの顎を掴んでいた手を離し、先ほどとは反対方向に足を向ける。

そして数歩進んだところで、ふと思い出す。




「それから……あの背中の傷があることで男が寄り付かないと思っているのなら俺にとっては好都合だ。」

「え……?」


悔しそうに伏せていた頭が弾かれたように上がる。

疑問を浮かべるジュゼットに、フッと笑みを零し…




「エレナを一生手離すつもりなどない。」

「ッ………!」


そう言い放てば、今度こそ完全なる敗北を期したジュゼットが愕然とした表情をする。



その顔を一瞥して再び歩き出した。

エレナを迎えに行くために―――――