しかし、月明かりに照らされたその人物の姿が目に映った瞬間から興味が削がれた。
「シルバ様!」
俺の名を呼び、目の前で止まるその人物。
内心、チッ…と悪態をつくも、表面には出さずに口を開いた。
「ジュゼット姫、なぜこんなところに。」
「シルバ様が来るのを待っていましたの…」
俺を待ち伏せていたのはパーティーの途中から姿を見せていなかったジュゼットだった。
頬を赤らめて上目づかいで見上げてくる目の前の女に、何を期待しているのかが分かり嫌気がさす。
「私…シルバ様ともっとお話がしたくて。」
やはりな……
予想の範囲内の言葉にスッと何かが冷えた。
「できれば二人っきりで…」
スッ……――――――
距離を縮めてこようとする体を片手で静止する。
「すまないが、次の機会に…ジュゼット姫。」
“穏便に”というウィルの言葉を思い出し、当たり障りのない言葉を投げかける。
しかし、目の前の高貴な姫君は気に入らなかったようで…
「なっ…私を招いたのはシルバ様ですわよ。」
「それが?」
羞恥で赤く染まった顔に、いたって冷静に返す。

