もう演じる必要などないが……
エストの姫を招くと一言ウィルに告げた時に何かを察したようで、穏便に済ませろと言われたのだ。
今のところ気づくどころか、完全に勘違いをされているがな。
「わ、私外の風を浴びてきますわ。」
やっと解放されるのか…
ホッと安堵しながらも、ジュゼットが走り去るのを目で追う。
その方向は、エレナが出て行った方向と同じだった。
まさか…な……
一抹の不安を感じながらも、エスト王国の者たちに囲まれた。
クソッ…次から次へと……
先ほどまで取り巻いていた者たちのことを思い出し苛立つ。
口を開けばアークと俺をおだてる言葉ばかり。
よほど俺とあの女をくっつけたいらしい。
あの女を利用して俺を…ひいてはアークを手中に入れたいという考えが丸見えだがな。
「シルバ…そろそろ……」
ウィルがそっと耳打ちする。
「そうだな。」
客人に対してはもう十分もてなしを尽くした。
そう言えば、途中からあの女の影がなかった。
いないのならいないでどうでもいいが。

