白銀の女神 紅の王Ⅱ




もう演じる必要などないが……

エストの姫を招くと一言ウィルに告げた時に何かを察したようで、穏便に済ませろと言われたのだ。

今のところ気づくどころか、完全に勘違いをされているがな。




「わ、私外の風を浴びてきますわ。」


やっと解放されるのか…

ホッと安堵しながらも、ジュゼットが走り去るのを目で追う。

その方向は、エレナが出て行った方向と同じだった。



まさか…な……

一抹の不安を感じながらも、エスト王国の者たちに囲まれた。




クソッ…次から次へと……


先ほどまで取り巻いていた者たちのことを思い出し苛立つ。

口を開けばアークと俺をおだてる言葉ばかり。

よほど俺とあの女をくっつけたいらしい。

あの女を利用して俺を…ひいてはアークを手中に入れたいという考えが丸見えだがな。





「シルバ…そろそろ……」


ウィルがそっと耳打ちする。




「そうだな。」


客人に対してはもう十分もてなしを尽くした。

そう言えば、途中からあの女の影がなかった。

いないのならいないでどうでもいいが。