そんな不安に苛まれていると、ホール内の曲調がまた変わった。
シルバとジュゼット姫のダンスは終わったかしら…
そう思いながらもホールとバルコニーを遮るカーテンに手を伸ばした時だった。
フワッ…――――――
「ごきげんよう、エレナ様。」
カーテンを掻き分けてバルコニーに出てきたのは、今日の主賓ジュゼット姫だった。
驚きで言葉にならず、「こんばんは…」と小さな声で応える。
すると、ジュゼット姫はクスクスと笑い…
「そんなに緊張なさらないで。私貴方とお話ししたくて来たの。」
フフッと笑う様は綺麗すぎるほどだった。
間近で見ると本当に綺麗な女性で、オーラからして私とは異なっていた。
「私に…何か御用ですか?」
「あら、これから長い付き合いになるのよ。ご挨拶をしようと思っただけなのに…」
硬い表情の私に、ジュゼット姫はあくまで余裕の笑みを浮かべたままそう言う。
「長い付き合いって……」
「もちろん後宮でのお付き合いに決まっているわ。私もこの国に嫁いだらあの後宮に入るんですもの。この国のしきたりなどエレナ様に教えていただきたいことがたくさんありますわ。」
明らかに動揺の色を見せた私に、ジュゼット姫はますます笑みを深めた。

