すると―――――
「ねぇ…シルバ……」
布団をかぶったままのエレナに呼び止められる。
躊躇っているような、遠慮がちな声。
「なんだ。」
そう一言答えれば、少しの沈黙の後、意を決したようにエレナが口を開いた。
「エスト王国のお姫様と縁談の話があるって本当?」
「誰から聞いたんだ。」
一瞬驚きに目を見開いたが、あくまで冷静に切り返す。
何故エレナが縁談の話を知っているんだ。
ウィルか?
いいや、それはない……
あいつはエレナが悩むと分かっていてこんな話は持ちかけない。
…とすると、侍女たちか?
おそらく、俺たちがイースト地区へ視察に行っている間に手紙を受け取った者から広まったのだろう。
こういう話は侍女たちの格好の話題だからな。
「ねぇ…本当なの……?」
肯定も否定もしない俺に、しびれを切らしたエレナは尚も追求する。

