エレナが起きなければ、こうして避けられている理由が分からない。
無理やりベッドへ連れて行くこともできるが…
事と次第によっては今の状況を悪化させかねない。
かといって、今や習慣となった腕の中のぬくもりを感じずに眠りにつくなど違和感がある。
早く起きて機嫌を直せ…エレナ…
そう思いながらも白銀の髪に手を伸ばした時だった。
手によく馴染む滑らかな白い肌に指先が触れた時、エレナが「んっ…」と小さく声を上げる。
眠りが浅かったのか、覚醒に向かった目覚めは止まることなく…
長い睫が震え、ダイアモンドのような銀色の瞳が覗く。
そして、何度か瞬きをしてこちらを捉える。
しかし―――――
「シル…バ……」
そう呟いただけで、パッとそらされた視線に苛立ちを覚える。
「起きたならベッドへ行くぞ。」
そう言って立ち上がるが…エレナの反応はない。
そればかりか、かけてやった布団を頭までかぶって…
「今日はここで寝ます。」
やはりそう簡単に機嫌は直らないようだ。
これでいて頑固なところがあるからな。
「勝手にしろ」とだけ言ってベッドに向かう。

