「エレナさんにはもう話したんですか?」
その言葉に、ピクリと反応する。
コイツ…分かっていて俺を煽っているな。
一見人畜無害な顔をしていて、実は腹黒いウィル。
こいつの手に乗ってたまるか。
「断る話をエレナに伝える必要などない。」
「側近として助言するのならエスト王国とは繋がりがあった方が良いとは思いますが……貴方ならそう言うと思いました。」
やれやれ…と仕方なさそうに笑うウィル。
こいつも昔はこんなに諦めの良い性格ではなかった。
目的のためには手段を選ばず、この国のためなら意地でも縁談を決めたはずだ。
しかし、そうさせないのはエレナの存在があるからこそ。
「では、このお話は断ってもいいんですね?」
「そういうことだ。次にそういった類の話が来たらお前のところで止めておけ。」
ウィルの問いに間髪入れずに答える。
「エレナさん以外の女性を妃に迎える気はない……ということですか。」
「当たり前だ。」
迷いなくそう答える。
そして、ウィルの驚いたような嬉しそうな顔を一瞥して部屋を出た。

