「気にしてるのはどっちだか…」
「何か言ったか?」
クスクスと笑うウィルに一言そう告げれば「いいえ別に」とからかいの笑みと共に返事をした。
「どうぞお先に帰って下さい。子犬を邪魔者扱いにして別の者に預けるくらい大好きなエレナさんのもとへ。」
からかい口調のウィルに、フンッとだけ返して扉に手をかざす。
すると―――――
「そう言えば…エスト王国からの縁談の件、もうお耳に入っていますか?」
「あぁ………」
そう言えばそんな話もあったな。
エストから縁談の話が来たのは今週初めのこと。
ちょうどイースト地区へ視察に行っている時に正式な申し込みが来たのだ。
今まで縁談の話がなかったわけではない。
国内の令嬢から隣国の姫まで多数話は持ち上がった。
その度に断って、一旦は縁談の話も減ったのだが…
エレナを後宮に住まわせるようになってから、その数はまた増えた。
「最近のシルバは丸くなったと評判ですからね。姫君たちも一層熱が入ってきてるようです。」
「フンッ…どうせ俺の地位とアークが目当ての縁談だろ。」
吐き捨てるようにそう言えば、「まぁそうですけど…」と答えるウィル。

