「けれど本気で攻める気があるのなら、何故今攻めてこないんでしょう?アークは内乱が起こったばかりで攻めやすいと考えるのが普通じゃないですか。」
腕組みをして考えるウィル。
確かに、ウィルの言うとおり今のアークは内乱で弱っているように見える。
特にギルティスと接するイースト地区は国の支配がままならず、この前の視察でやっと統治を始めたところだ。
攻め入るには絶好の機会のはず。
しかし、それでも奴らが大人しくしている理由は……
「様子を見ているのかもな…」
「何のですか?……っまさか…」
ボソッと呟いた一言にウィルが一瞬考えたそぶりをし、ハッと何かに気付く。
察しのいいウィルのことだ。
俺が何を指したのかはすぐに分かったようだ。
「例え話だ。気にするな。」
机の上の書類を整え、椅子から立ち上がる。
気にするなと言われても…と言うウィルの言葉を聞きながら書類を棚にしまう。
すると、ちょうど夜7時を示す時計の音が鳴った。
その音を聞くや否や書斎の扉に近づき、ソファーに座るウィルを振り返る。
「俺はもう戻る。お前もいい加減かたをつけろよ。」
そう言うと、今まで気難しい表情をしていたウィルがパチパチと目を瞬かせる。
そして次の瞬間、クスクスと笑いだした。
こいつのこの笑い方はいつ聞いても不愉快なこと極まりない。

