白銀の女神 紅の王Ⅱ




「エスト王国は強国とまでは言えないけど土地も広いし、豊かな国だからつながっていて損はないだろうとは思うけれど……」


彼女に悪気はないのだと思う。

みんな後宮に住まう私に優しくしてくれているから。

それに、侍女たちがこういう噂話をするのにもわけがある。

このアーク王国はもともと一夫多妻制と言う文化があるからだ。

王族の血を絶やさないためにも、多くの妻に自分の子供を産ませるのだとニーナが教えてくれた。

当然妻となる者の権力や地位が高いにこしたことはなく…今回話に上がったエスト王国などは豊かな国で、妃を迎えるには絶好の国なのだ。




それに比べ私は……

権力や地位以前に、シルバの妃になれない決定的な理由があった。





それは……“子供”




今はもうなくなったけど、私には“人の心を読む能力”があった。

もしこの能力が遺伝してしまったら?

子供は王族として認めてもらえるの?

シルバもそう思うからこそ私を正式な妃にしないんじゃ……と思うと胸がギュッと押しつぶされそうなほど苦しかった。