「特定の誰かを決めなかったシルバ様に、エストのお姫様もしぶしぶ待っていたというわけ。けどそれはあることがきっかけでシルバ様に再アタックをかけたの……ここまで言えばわかるでしょう?」
「エレナ様?」
ドキッ――――――
自分の名前が呼ばれ心臓が大きく跳ねた。
「そう、シルバ様は後宮に突如として妃を迎えた。しかも、エレナ様ただお一人を。」
一瞬、隠れて聞いていたのがばれてしまったのかと思ったが、その疑問に答えるようにして口を開いた侍女にそうではなかったと安堵するが…
「最初はただの妾だろうと思っていたみたいだけど、こんなに長く続いていて焦ったみたい。」
「それで今回の縁談が来たわけね。」
侍女の言葉に目の前が真っ暗になってしまうほどの絶望感が襲った。
それはシルバに縁談の話が来たことだけではない。
気づいてしまったのだ……自分の立場を。
確かにシルバは私を愛していると言ってくれた。
傍にいてもいいと言ってくれた。
けど……――――――
私はまだ妃ではなく“妾”だった。
一見後宮に住んでいるため皆からは妃のように見えるけど、私の立場はそんなものじゃない…
だって、私たちは結婚してないんだもの……
それに気づかされ不安に襲われていたところに、侍女の言葉が追い打ちをかけるように聞こえた。

