白銀の女神 紅の王Ⅱ




見開かれた銀色の瞳。

全ての雑音が掻き消え、時間が止まったように動けない。

手は腕に添えられたままで、今にも触れそうな距離にいるエレナ。



スッ……――――――

自然と手が動く。

触れた先は、柔らかな頬。



しかし……


ビクッ……―――――

触れた瞬間、エレナは身体を強張らせる。





やはり、まだ早いか……



自分よりも他人を優先させるなど今までの俺には考えられなかった。

だが、エレナに関しては別だ。

頬にあてていた手を離し、エレナの背に回す。




「シルバ……?」


エレナが不思議そうに声を上げるのを聞きながら、ゆっくり引き寄せる。



フワリ……―――――

抵抗がなかった事に何処か安堵しながら、エレナを腕の中に囲った。