反射的に逃げを打ったが、既に遅い。

ギュッと衣服を掴まれ、身体を寄せられる。

擦り寄って来た身体を抱きしめ返す様な余裕などなく。

仕方なく、仰向けになった状態でエレナの背に片腕を添える。

そして、深い溜息を吐き頭を抱えた。



コイツは俺の事を抱き枕か何かだと思ってるのか?



ピタリとくっついて離れないエレナ。

本人は良い夢でも見ているのか、口元をほころばせて眠っている。



冗談じゃない………


これ以上、抱きつかれていては危ない。

起こした方が身のためだ。




俺にとっても、エレナにとっても…





「エレナ。」


すやすやと気持ちよさそうに眠るエレナを起こすのは気がひけたのか、名を呼んだ声は小さかった。



「んっ……」


目をギュッと瞑り、小さな声を上げるエレナ。

起きるのか……?

そう思ったが……



モゾッ……―――――

腕の中で少し身じろぎしただけ。