白銀の女神 紅の王Ⅱ




すると今度は――――



「あの……シルバ。」


エレナが言いにくそうに口を開く。



「何だ。」

「お願いがあるの……」


正座をしているエレナが手を固く握りしめ、膝に置く。

力が入っているのか、肩が上がりガチガチに固まっている。

これから話す“お願い”とやらは、言いにくい事なのだろう。



まぁ…大体予想はついているが…



「……言ってみろ。」


そう言うと、エレナは前を向いたまま口を開く。




「この子を連れて帰りたいの。」


そう言うと思った……





「野犬だぞ。」


溜息交じりにそう言うと、エレナが勢いよくこちらを振り返る。




「分かってます。でも、私から離れなくて…親もいないみたいだし。」

「人間が珍しいだけじゃないのか?」

「私もそう思ったんですけど…違うみたい。このままじゃ狼に襲われちゃうわ。」


珍しく引き下がらないエレナ。




「お願い…シルバ。」

「ッ………!」


グッと距離を詰め、銀色の瞳に見上げられる。