すると今度は――――
「あの……シルバ。」
エレナが言いにくそうに口を開く。
「何だ。」
「お願いがあるの……」
正座をしているエレナが手を固く握りしめ、膝に置く。
力が入っているのか、肩が上がりガチガチに固まっている。
これから話す“お願い”とやらは、言いにくい事なのだろう。
まぁ…大体予想はついているが…
「……言ってみろ。」
そう言うと、エレナは前を向いたまま口を開く。
「この子を連れて帰りたいの。」
そう言うと思った……
「野犬だぞ。」
溜息交じりにそう言うと、エレナが勢いよくこちらを振り返る。
「分かってます。でも、私から離れなくて…親もいないみたいだし。」
「人間が珍しいだけじゃないのか?」
「私もそう思ったんですけど…違うみたい。このままじゃ狼に襲われちゃうわ。」
珍しく引き下がらないエレナ。
「お願い…シルバ。」
「ッ………!」
グッと距離を詰め、銀色の瞳に見上げられる。

