白銀の女神 紅の王Ⅱ




エレナの涙が引いた後―――

テントを張りこの湖に野営をする事にした。



どうせイースト地区に行くまでにはどこかで一晩を過ごさなければならない。

一人なら別だが、今回は兵も多く引き連れ、エレナもあのざまだ。

幸いなことに、ここは開けていて平地。

野営をするには絶好の場だった。






湖の周りに立つテント。

その中でも一際大きなテントに近づく。

テントの周りに護衛していた兵士を外させ、入口の前で立ち止まる。



そして――――


「エレナ、着替えたか?」


テントの中に向かって声をかける。

すると、テントの中から「はい」というエレナの声が聞こえた。

その返答を聞き、テントに足を踏み入れる。




あの後、全身ずぶ濡れのエレナを着替えさせるために、このテントに押し込んだ。

ついでに子犬も。

俺も別にこのテントで良かったのだが、エレナが反対したのだ。