エレナの涙が引いた後―――
テントを張りこの湖に野営をする事にした。
どうせイースト地区に行くまでにはどこかで一晩を過ごさなければならない。
一人なら別だが、今回は兵も多く引き連れ、エレナもあのざまだ。
幸いなことに、ここは開けていて平地。
野営をするには絶好の場だった。
湖の周りに立つテント。
その中でも一際大きなテントに近づく。
テントの周りに護衛していた兵士を外させ、入口の前で立ち止まる。
そして――――
「エレナ、着替えたか?」
テントの中に向かって声をかける。
すると、テントの中から「はい」というエレナの声が聞こえた。
その返答を聞き、テントに足を踏み入れる。
あの後、全身ずぶ濡れのエレナを着替えさせるために、このテントに押し込んだ。
ついでに子犬も。
俺も別にこのテントで良かったのだが、エレナが反対したのだ。

