「そうですね。馬鹿は死なないといいますし」
一応アークの国王なのだが、こいつらは容赦ない。
だが、時に忌憚のない意見を物怖じせずに口にする彼らの事を信頼しているのも確かだ。
「シルバはいいとして、エレナさんは大丈夫でしたか?」
ウィルはサラリと流してエレナの事を聞く。
本当に俺の事はどうでもいいんだな。
「かすり傷くらいだ。大きなけがはない」
「それは良かった。けれど心労は溜まっているでしょうし暫く安静にしていた方がいいでしょうね」
昨夜のエレナへの所業を口にしたら小言が始まるので「あぁ」とだけ答えた。
「婚儀はエレナが落ち着いた後だな」
デュークも同じように言う。
俺には容赦がない二人だがエレナに対しては呆れるくらいに甘い二人。
「エレナさんが一人で牢屋を抜け出したのも驚きましたが、それがシルバの計画が耳に入っていなかったからとは…手紙を受け取れなかったエレナさんはとても不安だったでしょうね」
「あれは俺の失態だった。俺もまさかあのエレナが牢屋を抜け出すとは思わなかったぞ」
デュークも意外だと言わんばかりにそう言う。
二人が驚くのも無理ない。
あの非力そうなエレナが一人で敵国を抜け出そうとしたのだから。
思えば出会った頃からエレナは無茶ばかりする女だった。
冷酷無比で通っていた国王に逆らおうとしたり、寝込みを襲った男から逃れるために自身を傷つけたり。
何の力もないのに俺を庇う為に向かってくる矢の前に出たり。

