同時刻、執務室――――
「報告は以上です」
ギルティスから帰還したウィルが一通りの報告を終えて、パタンと書類を閉じた。
デュークは相変わらず資料の類など持たず腕を組んで椅子に座っていた。
ウィルとデュークが戻ったのはギルティスで負った怪我を医者に診せていた時だった。
報告をするためにウィルとデュークは数十人の兵士を引きつれ先に帰ってきたらしい。
「ご苦労だった。一人の犠牲者も出さず済んだんだな?」
今回の衝突は実質的に冷戦状態にあり、ギルティスの捕虜を返すことで終結した。
故に両国の血は一滴も流れることなかったのだが、ウィルは「そうですね…」と口を開いた。
「約一名は大怪我をしているようですが」
ニッコリと笑うウィルは笑っているが笑っていない。
最後まで俺の計画に反論していたウィル。
だから護衛をつけて行けと言っただろうとでも言いたげな様子だ。
それを押し切ってまで一人でギルティスへ向かい、結果負傷しただけに何も言えない。
そんな状況に割って入ったのはデュークだった。
「まぁまぁ、シルバが無事だったんだからいいだろう。それにウィル、こいつは殺そうと思っても殺せない男だぞ」
一言多かった。

