「エレナ様、これを」
ごそごそと胸ポケットをあさり、男が取り出したのは封筒。
「陛下から預かっていた書簡です」
差し出されたそれを受け取って裏返すと、紅い封蝋で封をされていた。
印はもちろん国王、シルバのもの。
「確かに受け取りました」
手紙を大事に胸に抱えて微笑む。
「それでは私はこれで失礼いたします。お身体ごゆっくりおやすめください」
そう言って男は侍女と護衛に囲まれて退室した。
一人になった後宮で改めて手紙を見つめる。
見つめれば見つめるほど嬉しさが込み上げ頬が緩むのが分かった。
何せシルバからの初めての手紙だ。
紙切れに書かれたものではなく、ちゃんと封をしている手紙。
確か“牢屋で大人しく待っていろ”と書かれているのよね。
何ともシルバらしい言葉にクスクスと笑いながらナイフで封蝋を剥がす。
もう書かれている内容は分かっているのにそれでも楽しみなのだ。
パリっと固まった封蝋を剥がし、中の紙を取り出す。
そして、二つに折りたたんだ紙を広げ、書かれていた言葉を目にした瞬間息を飲んだ――――
横線は数行にもわたってスペースがあるのに、書かれていた言葉は一行だけ。
けれど、そのたった一行の言葉に涙が込み上げた。
そして気づいた時は後宮を飛び出していた―――

