白銀の女神 紅の王Ⅱ




「貴方はあの時のアーク兵だったんですね」


敵地から無事戻ってこられたことに安堵する。

弾む私の声に反して男は沈む声で「はい」とだけ答えた。




「顔を上げてください」


男は私の言葉に恐る恐る顔を上げる。




「あの時あの状況では私たちは接触することも出来ませんでした。だから誰も貴方を咎めはしませんよ」

「しかし……」


床につけた拳をグっと握り視線を逸らす男。





「現にシルバは貴方を罰しましたか?ここに来たと言うことはシルバが許したと言うことでしょう?シルバが罰しないのに誰も貴方を咎めることは出来ないわ」


男の目が見開かれる。




「どうしても自分を許せないと言うなら、これからもシルバの為に尽くしてください。シルバの愛するこの国を一緒に再建していきましょう」


そう言って微笑めば男は見開いていた目を閉じ、再び頭を下げる。




「私はこれからも陛下に永劫なる忠誠を誓います。この身が滅ぶ最後の時までアークに捧げたいと思います」

「ありがとう」



顔を上げた男に笑顔でそう言えば、男も「はい」と言って笑った。

こうしてシルバを信じて守ってくれる人が出来ると私も嬉しい。

私にはシルバを守る力なんてないから。