「貴方はあの時のアーク兵だったんですね」
敵地から無事戻ってこられたことに安堵する。
弾む私の声に反して男は沈む声で「はい」とだけ答えた。
「顔を上げてください」
男は私の言葉に恐る恐る顔を上げる。
「あの時あの状況では私たちは接触することも出来ませんでした。だから誰も貴方を咎めはしませんよ」
「しかし……」
床につけた拳をグっと握り視線を逸らす男。
「現にシルバは貴方を罰しましたか?ここに来たと言うことはシルバが許したと言うことでしょう?シルバが罰しないのに誰も貴方を咎めることは出来ないわ」
男の目が見開かれる。
「どうしても自分を許せないと言うなら、これからもシルバの為に尽くしてください。シルバの愛するこの国を一緒に再建していきましょう」
そう言って微笑めば男は見開いていた目を閉じ、再び頭を下げる。
「私はこれからも陛下に永劫なる忠誠を誓います。この身が滅ぶ最後の時までアークに捧げたいと思います」
「ありがとう」
顔を上げた男に笑顔でそう言えば、男も「はい」と言って笑った。
こうしてシルバを信じて守ってくれる人が出来ると私も嬉しい。
私にはシルバを守る力なんてないから。

