「あれは仕方のない事だったわ。私たちだけじゃアークに帰っては来れなかったから。あの時のデュークさんの演技がなければギルティス王の警戒は解けなかったと思う」
「けど、あの時確かにエレナ様は深く傷つきました」
自分が傷ついているかのように眉を寄せて悲しい表情をするニーナ。
「デュークがあんなこと言うからぁ…」
わぁぁんと口を大きく開けて天を仰ぎ、涙を流す様は子供のよう。
そんなニーナがとても愛おしくて大好き。
デュークなんて嫌いよぉ…と何故か嫌われるデュークを不憫に思いながらクスクスと笑う。
余りにも私が笑うからかニーナは泣きながら「何で笑うんですかぁ…」と分かっていない様子。
「ごめんね」と言いつつもニーナが可愛くて目を綻ばせた。
「確かにあの時はデュークさんの言葉に傷ついて怖くて不安だったけど、シルバが迎えに来てくれたから。私はそれだけで十分だったの」
「エレナ様…」
ニーナの涙が止まり、私をじっと見つめる。
「だからね、ニーナが責任を感じることなんてないのよ?」
「エレナ様ぁぁぁ…」
ふわりと微笑めば、口をキュっと結びニーナが腕を広げて抱き着いてきた。
ギュっと抱きしめられたけれど最初のように泣き出すことはなかった。
「私はエレナ様の侍女でとても嬉しいです。これからもずっとお傍でお仕え致します」
「これからもよろしくね、ニーナ」
ニーナは「はい!」と元気よく返事をして笑顔になる。
赤くなった鼻と嬉しそうにほころんだ琥珀色の瞳が印象的だった。

