綺麗なドレスも招待客もいないたった二人の婚儀だったけど、それでも私たちは確かに誓った。
それだけで私は十分に幸せだから―――
自然と頬は緩み、幸せな気持ちが表に出てしまう。
今までの私の人生を思えばこんなに幸せで良いのだろうかと怖くなるくらいだ。
けれど、幸せは確かにここにあるのだ。
左手の薬指にはめられた指輪と胸元の所有印。
そして、一言一句記憶したシルバの誓いの言葉が…
ふふっと再び喜びをかみしめていると、コンコンと遠慮がちにノックの音が鳴った。
護衛の人かな、と思いながらドレスと一緒に置かれていたショールを肩にかけて痕を隠した。
「はい。どうぞ」
扉の向こうに声をかければ、遠慮がちにゆっくりと扉が開く。
余りにも弱い力で開けられたからか扉がキィー…と高い音をたてる。
そして入ってきた人物に息を飲んだ。
「ニーナ!」
「エレナ様……」
後宮に入ってきたのはギルティスの城で別れたニーナだった。
服はボロボロのままで、アークに帰ってきてからすぐにここへ来てくれたことが分かる。
私はニーナと分かるや否や駆けつけ、力の限り抱きしめた。
「無事で良かった…本当に良かった」
ギュっと小さな体を抱きしめれば一瞬ビクッと体を揺らすニーナ。
けれどニーナにいつもの様な元気はなかった。

