「だからそう急かさずとも大丈夫だと言っているだろう。俺はまだここから動きたくないんだ」
「ダメっ!」
気だるげにそう言ってはぐらかそうとするシルバ。
腕を広げて私の体を引き寄せようとする腕から逃げる様に後ずさりする。
ベッドの端に移動した私にムッと眉を寄せるシルバはどこか不機嫌そう。
ま、負けないんだから……
シルバの無言の威圧に少々押されながらも心の中で自身を奮起させる。
「診てもらわないと言うんなら、私今からここを出ていきます」
言ってしまえば止まらない。
私はシーツを体に巻いたまま、体を起こす。
一方のシルバは余裕の笑みを湛えながら口を開いた。
「出て行ってどうする。お前の場所はここしかないだろう」
「そ、そんなことありません!行くあてならどこかに…」
そこでふと考える、どこに行こう…と。
私の部屋と呼べる部屋はここしかないし、この城を出て行ったとしても行くあてはない。
ニーナの部屋に行くのも悪いし……
頭を抱えて考えていれば、シルバがフッと笑う。
「どこなんだ?」
ベッドに深く沈めていた体を起こすシルバ。
小さな欠伸をしながら俺の言ったとおりだろと言わんばかりの顔にムッとする。
このままシルバの思い通りになるのはなんだか面白くない。
そう思ってベッドから脚を降ろす。

