恥ずかしいのか、本当に触れるだけの口づけをして離れていくエレナ。
エレナから口づけをされたのは初めての事。
本人も相当な勇気がいったことがこちらを窺う視線で分かる。
俺が何も言わないことが不安なのか、エレナはおずおずと口を開いた。
「これで私はシルバのもの…?」
「ッ……!」
更に追い打ちをかける言葉に、気づいた時にはエレナをベッドに押し倒していた。
「シ、シルバ?」
驚くエレナを余所眼に細い指に絡めとり、両の手をベッドに縫い付ける。
笑いかける余裕もなく口を開く。
「本当に俺のものになりたいか」
瞬間、エレナが息を飲んだのが分かった。
俺が発した言葉の意味などとうに知っているはずだ。
「あの…今日?」
「お前が煽っておいて何を今更。俺も他の男の所有印を塗りつぶしたくらいではおさまりがつかなくなった」
カァ…と頬を赤らめたエレナにありのままの言葉を告げる。
「嫌なら今のうちに言え。今ならまだ止めてやれる」
嘘をついた。
本当はもうおさまりがつかないくらいエレナを抱きつぶしたいという衝動が込み上げている。
だが、ここまできても本人の意思を無視して抱こうとは思わなかった。

