「俺は神父や神に誓いを立てるんじゃない。お前に誓うんだ、エレナ」
「ッ……!」
瞬間、エレナは息を飲んで目を細めた。
潤んだ瞳にうぬぼれてもいいのだろうか。
エレナの体をゆっくりと起こし、向かい合う。
今にも泣き出しそうなエレナの前で懐にしまってあった箱を取り出す。
箱の中には大きさの違う二つの指輪。
「シルバ・アルスターの名において誓う。病める時も健やかなる時もお前を…」
言いかけて止まる。
それは本来ならば神官の前で告げる言葉。
だが、今は二人きりだ。
「形式ばった言葉は要らないな。仕切り直しだ」
フッと耐えきれない笑みが零れ、改めてエレナを見据える。
「エレナ、俺はこれからも一番近い場所でお前を守り、生涯を終えるまでお前の傍にいると誓う。これからも辛い思いをさせてしまうこともあるかもしれない。だが、俺の隣にはお前にいてもらいたいと思う」
かつてこれほどに緊張が伴ったことがあるだろうか。
それほどに気持ちを高ぶらせながら口を開いた。
「俺の妃になってくれるか?」
「……はい」
驚いた表情をした後、柔らかに微笑んだエレナに心の中で安堵した。
そして、小さいほうの指輪を取り出しエレナの左手にはめる。
エレナも残ったもう一つの指輪を取って俺の指にはめた。

