「これくらいどうってことない」
そう言えばエレナをかばう時に肋骨が何本か逝った気がするが、あまり痛まないところを見ると折れてはいなかったか。
放っておけば時間と共に痛みが伴うだろうが、そんなことはどうでもいい。
しかし、自分の怪我など二の次の俺に対し、エレナはまだ抵抗を見せる。
「ん…ぁ…だめ……まっ…んんッ!」
待てと言いたかったのだろうか、その言葉さえ掻き消すほどに深く口づけた。
思えばエレナがギルティスに攫われて5日経った。
婚儀の儀式で会えなかった日を加えればもう一週間も経ったのだ。
本来ならば儀式の3日目で誓いを立て晴れて妃として迎えられていたはずだった。
それがこうして長引いて、待てと言う方が酷だ。
「俺は十分待った。これ以上はもう待たない」
「だって…私たちまだ儀式だけで誓いも立ててなくて…」
乱れた呼吸をしながらそう言うエレナ。
戸惑った瞳が更に俺の欲を煽る。
「では今ここで誓いを立てればいい」
「今?」
エレナの顎に指をかけてそう言えば、驚いたような声が返ってくる。
「あぁ。俺はいつでも誓いを立てられる。それが例えどこであろうと、どんな状況であろうと」
そう言いながらエレナの左手を取り、まだ何もはめられていない薬指に口づけを落とす。

