はじめ、エレナが自身を穢れていると言った時は狂おしい程の嫉妬が身の内に湧き上がった。
誰にも触れさせずずっと守ってきたものを奪われる感覚。
透き通るような白い肌と均整のとれた肢体を他の男が暴いた事を頭に浮かべただけでドロドロと黒い感情が湧き上がる。
しかし…――――
「エレナ、お前はまだ純潔のままだ」
伝えた言葉にエレナは首をゆるゆると横に振りながら否定する。
「私はシルバ以外の人に触れられたの……」
声を詰まらせ、咽び泣くようにしてそう言うエレナ。
自身の胸元に視線を落とし眉を寄せる。
「ここにも痕をつけられてしまったし…首や肩にも…く、口づけられてしまったの」
震える声でそう言ってエレナはギュッと自分の体を掻き抱く。
銀色の瞳から零れる涙は止まることなく、後から後から零れ落ちた。
「シルバはそんな私をまだ妃にすると言うの?」
まるで否定されると決めつけているかのような言い方だった。
怯えた顔で泣きながら訴えるエレナ。
涙で濡れる頬を両の手で包み答える。
「あぁ、何度でも」
瞬間、銀色の瞳が大きく見開かれ揺れた。
そして目一杯涙を湛えて驚くエレナにフッと笑みが零れた。
湧き上がったそれは紛れもない愛おしさ。

