目の前で声を押し殺して泣く女をただ愛おしいと思った。
「ごめんなさい」と謝罪の言葉を繰り返し、俯いて涙を流すエレナ。
自分を穢れていると言い、まるで自分を責めるような言葉を口にする。
「ごめんなさい…っ…助けてくれたのに裏切って…ごめ…なさい…」
俺の視線から逃れる様に手で顔を覆い、エレナの細い肩が震える。
守りきれなかった俺ではなく自分を責めるエレナを誰が責めることが出来ようか。
気づいた時には体が勝手に動いていた。
俯くエレナの背に腕を回し、包み込む。
ビクッと肩を震わせたエレナを安心させるように背中をゆっくり撫でた。
「怖い想いをしたな」
耳元で囁いた言葉にエレナがハッと大きく息を飲む。
ゆっくりと距離を取れば涙で濡れた銀色の瞳が俺を見上げる。
その瞳はどこかまだ不安気で少し混乱しているようだった。
そう、例えるならば何故自分に優しい言葉をかけるのか…とでも言いたげな表情。
「お前を襲った奴らの事は忘れろ」
と言ってもエレナが受けた心の傷は大きい。
自分が穢れていると言わせしめるほどに傷ついている。

