白銀の女神 紅の王Ⅱ




「いや、俺のせいだ」


返ってきた言葉は頑なだった。




「もっと早くに気付いていれば不意を突かれることもなかった。剣さえまともに構えることが出来ないお前が身一つで向かってくる剣の前に出ることもなかった」

「けどそれは…」



「その先は言うな。俺が俺自身を許せないだけだ」


自身を責めるようなシルバの言い方に反論の声を上げるも、それは唇に当てられたシルバの指によって遮られた。

親指を私の唇に当て眉を寄せたシルバに何も言うことが出来なかった。

シルバはそのまま私の体を引き寄せ、私も抵抗することなく抱き寄せられるままにベッドから降りる。

床に膝をつき体をシルバの胸に預ければ、そっと抱きしめてくれる力強い腕。

広い背中に腕を回せば安堵したようにシルバの体からフッと力が抜けた。





「早く迎えに行ってやれないですまなかった。怖かっただろう」


耳元で囁かれた言葉に涙が込み上げる。

ギルティスから逃げる時はただただ必死で怖いと思う暇もなかった。

だけどこうして安堵できる場所に戻ってきた瞬間、思い出して震えるのだ。

ザイードから押し倒された事、男たちの無骨な手で組み敷かれた事。

不安で押しつぶされそうな中、敵国の城内を一人で抜け出そうとした事。



今更になって怖いと思い、体が震える。

それはきっとこうしてシルバの腕の中にいる幸せをかけがえのないものだと知っているから。

もしあの時シルバが助けに来てくれなかったら私はギルティスから抜け出せなかったかもしれない。

そう思うからこそ震えが止まらないのだ。

そんな私をシルバは黙って抱きしめて包み込んでくれる。