白銀の女神 紅の王Ⅱ




そしてその布を私の右腕に宛がった。

チリッと痛んだのはそこに傷があった証拠。

恐らくこの傷は地下牢で男たちから逃げた時についたものだろう。

かすり傷程度で、私でさえ気づかなかった傷をシルバは手当てする。



ひとつひとつ丁寧に、優しく。

右腕の手当てが済み、左手に移るとシルバは手を止め一層眉を寄せて顔を歪ませた。




「シルバ?」


私の左手を取ったまま黙り込むシルバ。

呼びかければ、シルバは私の手をギュッと握る。





「俺はお前を傷つけてばかりだな」


自嘲的に零された言葉に疑問が浮かぶが、その答えはシルバの視線の先にあった。

シルバの視線の先、左手の手首にうっすらと残る小さな傷痕を見て疑問が解ける。




「これはシルバのせいじゃない」


それは数か月前フォレストたちから逃げる際に、睡眠薬の眠気を払う為自らがつけた傷だった。

恐らくシルバが言うのはこの傷だけではなく、背中の傷の事も言っているのだろう。





「背中の矢傷も、この手首の切傷も、全部私がつけた傷。だからこれはシルバのせいじゃないの」


そう言って微笑めばシルバの瞳が見開く。