あれで更に油断したのだろう…俺がエレナを諦めたと。
だから少しでもギルティスを攻める素振りを見せればすぐにでも兵を仕向けてくると思っていた。
しかし、あれは危険な賭けだった。
敵国の強襲とあらば全兵力を裂いてもおかしくはない。
だが強国と言う自負があるザイードのうぬぼれにより、その賭けにも勝てたというもの。
「この城にもまだ兵士は残っているのだろうが、勢力を分断させたのが仇となったな。今ごろは一人残らず捕虜となっているだろう」
「クッ……」
悔しそうに表情を歪めるザイード。
おおよそアークの兵力を侮っていたのだろう。
全兵力をもってアーク兵に挑まなかったことが今回の敗因だ。
挑発的な言葉と屈辱を浴びせられたザイードは俺たちの周りを囲んだギルティス兵に目くばせをする。
それに合わせる様にしてギルティス兵が足をジリ…と一歩動かす。
エレナが不安気な瞳で俺を見上げる。
大丈夫だと言う意味を込めて頭を撫で、ザイードを見据える。

