「不意を狙わなければ倒せない程ご大層な剣術を有する兵士だが、数だけは多い。この兵を城から追い出そうと思ってな」
訝しげな表情をしていたザイードだったが、暫し考えるそぶりを見せた後に「まさか…」と口にする。
その顔からは血が引き、明らかな焦燥が見えた。
「やっと気づいたか。お前が送り出した兵士たちが今どんな状況に置かれているか…」
図星だったのかザイードが悔しそうな顔をして俺を睨む。
酷く滑稽に映るザイードの顔に挑発的な笑みを見せていると…
上空に一羽の鷹が現れた。
その鷹は甲高い声で鳴きながら俺たちの上空で旋回する。
「予定よりも早かったな。デュークの奴、皆殺しにしていないだろうな」
フッと笑えば、すかさずザイードが訝しげな表情で「何がだ」と問う。
エレナも何が何だか分かっていない様子で俺を見上げる。
「あれはギルティス兵を制圧したという知らせだ。お前が仕向けたギルティス兵はアークが制した」
見る見るうちに顔色が変わるザイード。
どうやら作戦は上手くいったようだ。
この作戦を思いついたのは3日前、ちょうどエレナがギルティスに攫われたと分かった時だった。
ギルティスの兵力を前に真正面から突破は困難。
実際に剣を交えてみてお世辞にも腕の立つほどではなかったが、数だけは膨大だと言うことは確かだったためだ。
まずはイースト地区に陣を張り、兵士はエレナを攫われたことがさも小事だと言う事を示す為に小数を配置した。
エレナを攫った事に若干の違和感はあったが、ザイードは俺の思惑通りの行動をした。
イースト地区で構えているであろう俺に使いをだし、エレナとニーナをだしにして自国の城に招く。
あの使いはアーク兵とすり替え、俺の代わりにデュークを城に遣った。

