白銀の女神 紅の王Ⅱ




「女は愛しむ為にある。無能なお前と一緒にするな」


手を引き頭に口づけを落とせば、たちまち赤くなるエレナの頬。

フッと笑えば、やっとエレナの体から緊張が解けた。

その様子を見ていたザイードは冷ややかに口を開く。




「口のきき方には気を付けるんだな、アークの王よ。お前は今敵国の地にいることを忘れたか」

「まさか」


「ならば逃げれぬことなど分かっていように。何が守るだ」


ザイードは腹を抱えて笑う。

それこそ間抜けな男を嘲笑うように声を上げて。

だがその光景こそ嘲笑の対象でしかない。





「お前は何故俺が単独でこの城に潜入したか分かるか?」


問いかけにザイードから笑みが消え、訝しげな表情をした。



「単独で潜入する方が身軽に動けるためだ。そしてもう一つ。お前たちを油断させるためでもあった」

「油断?」


そんなことを思ってもみなかったのだろう、ザイードは間抜け面で俺の言葉を繰り返す。