いつもこの細い腕で、小さな体で俺を必死に守ろうとする。
それこそ自分の命を引き換えにしても。
それが酷く俺を苛立たせる。
いや、むしろ苛立ちを向けるべきはエレナではなく自分自身の方だ。
「そうやって自分を犠牲にして俺を守るな。あの時も今もお前は俺がどんな思いだったか分かるか?」
エレナは少し困惑したような顔でこちらを見つめる。
恐らくエレナは俺の心の内など分かっていない。
どれだけ焦り、恐怖し、絶望を抱いたか。
「頼むから俺に守らせてくれ」
声を絞り出すようにそう言えばエレナは目を見開いたまま涙を流す。
そしてザイードと俺を交互に見て躊躇うそぶりを見せるエレナに告げる。
「何も答えるな、ただ頷けばいい。そうすれば俺はお前を必ず守る。あの誓いのままに」
瞬間、エレナはハッと目を見開き、次の瞬間には顔を歪ませて涙を零した。
そして何も言わずにただコクンとひとつ頷いた。
ただそれだけで、エレナが頷いてくれただけで靄がかかっていた胸の内が晴れる。
力を抜いてこちらに歩み寄ってくれたことに酷く安堵した。

