白銀の女神 紅の王Ⅱ




時間にして数秒―――――



受け止めていた剣を横に受け流し、油断してよろけた男の横腹を蹴り倒し。

俺を守ろうとする小さな体を包み込んで剣の軌道上とエレナの間に滑り込む。







ドンッ…―――――


「クッ……」


横腹にあたった剣に思わず声を上げ、エレナを抱きかかえたままよろめく。




「シルバッ!」


銀色の瞳をめいいっぱい開いて悲痛な声を上げるエレナ。




「大丈夫だ…」


そう言ったものの、右の肋骨が何本かいった。

しかしそれだけで済んだのはこの鉄の楔を着ていたからだろう。

着られた衣服から覗く銀色の鉄服は重いからと言っていつもなら着ないものだった。


そしてもう一つは男が直前で剣の面を変えた事。

エレナが間に入ってきた為、勢いは消せなかったようだが男は手元で剣をずらした。

恐らく人質のエレナは殺すなと言う命令がそうさせたのだろう。





「クソッ…」


仕留め損ねたことに悪態をついた男は再度剣を振り上げる。

しかし、最初の一撃を止めてしまえばこちらのもの。

いちいちふり幅の大きい男が剣を振り下ろすよりも先に男の横腹に向けて素早く剣を振った。

ザシュ…という音とともに倒れる男。





「見るな」


血しぶきを上げる男から視線を奪うようにエレナの目を手で覆いこちらを向かせる。