それはデジャヴのようだった―――
エレナを連れて馬小屋から出て、アーケードを抜けた時。
待ち伏せがいる可能性も頭にあったが、はやる気持ちが油断を生み、冷静さを欠いていた。
何より弱ってボロボロになったエレナを見て焦っていたのだ。
振り下ろされた男の剣は何とか受け止めたものの、チラリとうつされた視線を追えばもう一人の男。
今にも切りかかりそうな男が狙っているのは間違いなく俺だった。
馬が走り去った後、その男と俺の間に何の障害もなく、横に引かれた剣が今だとばかりに振られる。
瞬間、俺と男の間に入ってきた影。
柔らかな白銀の髪がなびき、腕を広げ、その小さな体で俺を守ろうとする者。
「エレナッ!」
思い出されるのは一生忘れることのないあの日のこと。
毒矢から俺を守るために間に入った時と酷く似ていた。
温かかった体から次第に体温が奪われ、閉じられた瞳は固く閉ざされる。
その銀色の瞳をもう開かれることはないかと思った時の恐怖。
柔らかに笑う笑顔をもう見ることは叶わないのではないかと思った時の絶望。
ヒュッと飲んだ息とともに凍りついたように心臓が鼓動を止め、まるで自分も死んだのではないかと思うほどの苦しさが襲う。
あの時と同じ、愛する者が倒れ行く悪夢のような光景がそこにあった。
また俺はあんな思いを味わうのか?
またエレナを守ることができないのか?
そんなこと……させてたまるかッ!

