馬小屋には数十頭もの馬が入れられており、扉を開けるなり入ってきた私たちを不思議そうな目で見つめていた。
シルバは歩きながらその馬たちをじっと品定めするように見定めていく。
私には毛色が違うだけでどの馬も変わらないように見えたが、きっとシルバの目には一頭一頭違う馬に見えるのだろう。
そして、ある馬の前で立ち止まる。
「こいつにしよう」
そう言って格子を開けた先にいたのはシルバの愛馬によく似た黒馬だった。
ブルッと鼻を鳴らし前足で足踏みする様子は迫力があって少し怖い。
しかし、シルバが近寄っても興奮して暴れることはなく、シルバは馬の首を優しく撫でてやりながら手際よく鞍と鐙、頭絡を着けた。
「私たちを乗せてくれるかしら」
「こいつなら問題ない。城の敷地内から出るまではもつだろう」
気難しい馬だったら乗せてくれもしないけれど、シルバは確信しているようにそう言う。
「外の森には俺の馬がいる。そこまで辿り着けばいい」
そう言いながらも馬の手綱を引いていくシルバ。
馬小屋から外へ繋がる木製の扉から錠の代わりになっている棒を外し、そっと外の様子を探る。
「行くぞ」
外にはギルティス兵の姿がなかったのか、シルバは私と馬を引いて馬小屋を出た。
パァ…と光が差し込み、久しぶりの太陽の光を浴びる。
一瞬眩しくて目が慣れなかったものの、次第に外の様子が明らかになる。
馬小屋からの一本道は両壁を覆うようにアーケードが張られ、5メートルほど先まで石畳が並ぶ。
そして石畳を抜けた先には緑の芝、そしてその先には城外へ繋がるつり橋があった。

