「あれは…お前に宛てた手紙だった」
「てがみ…?」
思わず繰り返し口にしてしまった。
だってシルバと手紙はあまりにもかけ離れていたから。
私がキョトンとした顔でシルバを見上げれば…
「手紙と言っても“大人しく牢屋で待ってろ”と書いただけだからな」
聞いてもいないのに手紙の内容を話すシルバ。
シルバにとってはそれだけのことかもしれないけど、私は一言でも嬉しかった。
その言葉があればあんな真似はしなかったのに…
「その様子では無事に牢屋から逃げてきたわけではなさそうだが…理由は後で聞く。今はこの城を出るのが先だ」
私の服をザッと見渡して眉を寄せたシルバだったがそう言って立ち上がる。
「あの…これを使って」
差し出したのは城の簡易地図。
それを受け取ったシルバは訝しげな表情をする。
「これは城内の地図じゃないか。どうやって手に入れた」
「えっと…ロメオさんから…」
答えた途端シルバの表情は一層険しくなった。
「それについても後で詳しく聞く」
若干低くなった声と細められた紅の瞳に居た堪れなさを感じていると、スッと差し出される手。
「行くぞ」と言って差し出された手を無言で取ればギュッと握り返してくれる。

