白銀の女神 紅の王Ⅱ




怖くても、一人でも行かなければ。

足がすくむ自分を叱咤するようにいい聞かせて一気に駆けだした。

1階の廊下は10メートルはあろうかと言うほど横幅が広く、中央には太い柱が立ち並んでいる。

地図を見るとここは幾重にも交差する廊下の中で1番大きい廊下のようだった。

柱に身を隠しながら慎重に移動していく。





「4つ目の廊下を左に曲がって……」


地下牢から上がってきた扉を背にして、今歩いている中央廊下を横に貫く5つの廊下。

裏口に進むための最短ルートは4つ目の廊下を左に曲がらなくてはならなかった。

そのルートを頭に入れ、柱と柱の間を走る。




2つ目…3つ目……




あと少しで4つ目だと言う時――




「それでよぉ、あの男ときたら持ってるもん見せねぇんだ」


3つ目の柱まで来たところで、大きな声を出しながらこちらに近づく男の声がした。

その声を辿れば、4つ目の廊下の右側から近づいてくるのが分かった。

声もそうだがどかどかと歩く足音は男のもの。

足音もだんだんと大きくなり、慌てて柱の陰に隠れる。



ドクッ…ドクッ…とこれまでにない程心臓が躍動する。

口に両手をあて、息を押し殺し、ぴったりと柱に張り付く。

すると、男二人が中央の廊下に出てきた。





「そう言えば、お守りだーなんて抜かしてやがったな」

「ぶはッ…大の男がお守りかよ」


運の悪いことに大口を開けて笑う男たちは、こちらにやってきた。