地下牢から城の1階へ出れば、そこにいるはずの衛兵はいなかった。
アークに兵を出していると言うのは本当だったのだ。
「はぁ…はぁ……」
地下牢からの階段を一気に駆け上がってきたからか、息が上がり苦しい。
喉の奥がチリチリと痛くて、乾いた呼吸を繰り返す。
もともと体力がない上にこの3日間は軟禁状態で心臓が悲鳴を上げるのも無理ない。
けど、それでも私は走らなければならない。
一度は諦めかけたけど、救われた命を無駄にしたくない。
それに、アークに帰れるという一筋の希望が見えた今、シルバに会いたいと言う気持ちが込み上げてきた。
なんて調子のいいことを、と自分でも自嘲せずにはいられない。
けれど、シルバのもとへ帰るためにもう一度足掻いてみたい。
会いたい……シルバ…
敵国にたった一人と言う孤独に耐えられない心がシルバの名を叫ぶ。
不安と恐怖で込み上げる涙を何とか抑え込み、ポケットの中の地図を取り出す。
地図の中には複雑な構造の城内が記されていた。
ここから裏口までは結構な距離があった。
落ち着いてきた息を確認し、すぅっと新しい空気を肺に入れる。

