白銀の女神 紅の王Ⅱ




「こんな昔話をしても貴方に響かないことは分かっていますし、私がしたことも消えません。けれど、どうか辛くても生きて下さい。貴方は私の永遠の女神なんです」


目を見開いてロメオを見つめる。

その顔は真剣そのものだった。

じっと私を見据えるロメオに押される形でコクンとひとつ頷いた。





「ありがとうございます」


ロメオはホッと安堵したような表情をしてそう言った。

そして、ロメオは牢屋の扉を開けて外に出て、地下牢から外に繋がる唯一の扉を指して口を開く。





「あの扉を抜けて階段を上がると上に出られます。裏口からこの城を背にしてまっすぐ進めばアークのイースト地区へ着きます。裏口までの道のりは複雑ですからこれを持って行ってください」


驚いたことにロメオは逃亡の手引きをし始めた。

手渡されたのは城内の簡易地図と、大きなローブだった。




「この城の衛兵はほとんどのものがアークへ出立しています。残っている兵もベロニカが引きつれているので城内の護衛も少ないでしょう。逃げるなら今です」


地図とローブを持ったまま唖然とする私をよそに、ロメオは私を急かす。





「さぁ、行ってください」


少し大きくなった声に我に返り、立ち上がる。

もらったローブを羽織り、ポケットに地図を押し込む。

そして、恐る恐る牢屋から出た。