白銀の女神 紅の王Ⅱ




だったらいっそ今…――――

そんな事してはいけないと思うのに、黒い考えが頭を支配する。



アークに帰りたい……

シルバに会いたい……


ただただ涙は流れ、無力な自分を嘆いた。





「やっと大人しくなったか」


諦めた様に強張っていた体から力を抜けば、口の中に血の味が広がる。

唇を噛みしめるようにして耐えていたからだろう、口内が切れていた。

もう私にも逃げる気力はなかった。




「面白くないが、まぁやってるうちにまた騒ぐだろ。良い声で啼けよ」

「お前本当に鬼畜だな」


ハハッと笑う男たちの下で悔し涙が頬を伝う。

男たちが服に手をかける中、ゆっくりと目を閉じる。



すると脳裏に焼き付いたシルバが現れる。

艶やかな漆黒の髪、燃える様な紅の瞳。

いつも厳しい顔をしているけど、めったに見れない笑みは私の心を弾ませて。

私の白銀の髪を撫でてくれる大きな手はとても優しい。




シルバ…――――

貴方の事を心の底から愛しています。





驚くほど落ち着いたのを感じながら、うっすらと口を開く。