あぁ…そう言う事だったのね。
ベロニカが私に向ける冷たい視線と刺々しい言葉を向ける理由が分かった。
「ザイード様があんたを本気で相手にするわけない」
やっぱり、ベロニカはザイードの事を慕っている。
それは尊敬や敬意の類ではない。
明らかな“恋慕”だった。
「誤解しないで。あのお方は私を想っているわけではないわ」
「当然よ!」
一層強い声が返ってくる。
「ザイード様はきっとアークの王の女を手中に収めたいだけ。執着や想いなんてあるはずない…今までだってそうだった」
まるで自分に言い聞かせるようにボソボソと呟くベロニカ。
「女なんて腐るほどいて、飽きられたら捨てられる。ザイード様にとって女はそういうもの」
私を見下ろす瞳は冷静さを通り越して冷たい。
「そうよ…ザイード様は生娘が珍しいだけ。だったら…」
薄暗い地下牢の中、フッと笑ったベロニカにゾクッと体に言い知れぬ震えが走る。
嫌な予感がした。
ザイードに乱暴されそうになった先ほどよりもずっと悪い予感が。

