白銀の女神 紅の王Ⅱ




「何だ」


縛った私の両腕を抑えたまま、扉の向こうへ声をかけるザイード。

その声があからさまに低かったからか、ベロニカは咄嗟に「申し訳ございません」と返す。



「アークの兵が国境内に入り込んだとの知らせが入りました」


ッ……アークの兵がギルティスに?





「我が国の兵も応戦しており、今は何とか国境付近で押さえておりますが、兵が足りません」

「ならば兵を送ればいいだけのことだろう」


ベロニカの報告に対して淡々と述べるザイード。





「おっしゃる通りです。しかし、敵国はあのアーク。兵士の士気を上げるためにも出立前にザイード様のお言葉を…」


すがる様なベロニカの声にザイードはチッと悪態をつき、ベッドから降りる。

拘束から解放されるや否や服を整える。





「今日のところは助かったな。だが次はないと思え」


ザイードが扉を開けば、俯いて諦めかけていたベロニカがバッと顔を上げ、嬉々とした表情をする。





「こいつを地下牢へ戻しておけ」

「はい!」



ベロニカは笑顔で答え、ザイードは部屋を出て行った。