「さぁ、存分に楽しもうぞ“エレナ”」
どこか狂気めいたザイードの笑みに、逃げなければという警鐘が頭の中に鳴った。
しかし、その想いとは裏腹に手は拘束されたままベッドに縫いとめられ、脚も抑えられている。
じたばたと暴れているつもりが、全く抵抗にはなっていなかった。
そんな私にザイードはフッと満足げな笑みを浮かべ、右手を私の腰から横腹、胸の側面へと手を這わす。
「ッ…やめて…触れないで」
ゾクゾクと嫌な感覚が体に走り、弓なりになってそれに耐える。
涙を湛えた瞳でザイードを睨みつける。
「そんな顔も出来るではないか。そうでなくては愉しくない」
そう言って顔を近づけてくるザイード。
ッ……それだけは嫌……
何をされるのか察し、思いっきり顔を横に逸らす。
すると、ザイードは諦めたようで、溜息をつきながら離れていく。
「口づけは嫌か。まぁいい、愉しみ方など他にもある」
そう言ってザイードが触れたのは首筋。
「いっ…いやッ……」
ちゅっ…ちゅっ…とリップ音をわざとらしく鳴らしながら唇をあてられる。
その口づけは首筋から下へ降りて行き、鎖骨、そして胸元まで到達した。
気持ち悪い……
シルバが触れる時はこの上ない幸せを感じる行為なのに。
ザイードがもたらすのは恐怖と嫌悪感だけ。
終わることのない嫌悪に耐えていると、ザイードの手が私の衣服にかかる。

