白銀の女神 紅の王Ⅱ




「貴方の為に能力は使いません」

「何だと?」


スッと目を細め声が低くなるザイード。

その声に怯むも、ギュッと手を握り締め、壇上のザイードを見上げた。





「私はシルバの所業を怒っても憎んでもいません」


もしデュークの言った事が本当でも。

もし本当に私を捨てたのだとしても。





「シルバは私に世界を与えてくれた。人を愛することや、愛されることを教えてくれた。たとえそれが偽りだったとしても、今の私が在るのはシルバがいたから…」


胸に手を当て、シルバとの思い出を振り返りながら話す。

不思議とザイードを目の前にしている恐怖は薄らぎ、落ち着く。

いつの間にか震えは治まり、白くなるほどに握っていた手をほどいた。

ザイードをまっすぐ見上げ、その冷たく見下ろす瞳を見据えながら口を開く。





「そんな人を憎めるはずがありません。ましてや、その人が守ろうとしている国を傷つけさせはしない」


ハッキリと告げた私にザイードの眉間に皺が寄った。