「貴方の為に能力は使いません」
「何だと?」
スッと目を細め声が低くなるザイード。
その声に怯むも、ギュッと手を握り締め、壇上のザイードを見上げた。
「私はシルバの所業を怒っても憎んでもいません」
もしデュークの言った事が本当でも。
もし本当に私を捨てたのだとしても。
「シルバは私に世界を与えてくれた。人を愛することや、愛されることを教えてくれた。たとえそれが偽りだったとしても、今の私が在るのはシルバがいたから…」
胸に手を当て、シルバとの思い出を振り返りながら話す。
不思議とザイードを目の前にしている恐怖は薄らぎ、落ち着く。
いつの間にか震えは治まり、白くなるほどに握っていた手をほどいた。
ザイードをまっすぐ見上げ、その冷たく見下ろす瞳を見据えながら口を開く。
「そんな人を憎めるはずがありません。ましてや、その人が守ろうとしている国を傷つけさせはしない」
ハッキリと告げた私にザイードの眉間に皺が寄った。

