白銀の女神 紅の王Ⅱ




気づいた時には頬に涙が流れていた。

一瞬デュークが目を見張るも、それ以上は何も言わなかった。

そして、デュークは私の横を通り過ぎ、ニーナの前で止まる。





「これは私が連れ帰る。侍女は必要なんでね」

「好きにするがいい。もとよりその約束だったからな」


ニーナの手を取るデューク。




しかし――――


「んーんッ!!!」


口を塞がれたままのニーナが取られた手を振り払い声を荒げる。

その瞳には明らかな怒りが含まれていた。




「大人しくしろ」


そう言ってデュークはニーナの腕を掴み、抱き上げる。




「んんーッ、んーんッ!」


バタバタと暴れるニーナ。

こちらを見て叫んでいるのはきっと私の名前。




「ニーナ……私は大丈夫だから…」


精一杯の強がりに、ニーナの動きがぴたりと止まる。

ニーナの瞳にもうっすらと涙が浮かんでいた。