白銀の女神 紅の王Ⅱ




スッ…――――



「王はどうした」


ザイードがかざした手に兵士たちは一瞬にして黙り、不機嫌そうに歪められた表情に怯えを見せる。

シルバが来ると思っていたザイードにとってこれ以上の屈辱はないだろう。

対するデュークは落ち着き払った声で応える。




「王なら来ない」

「何故だ」


ギリッと悔しそうに唇を噛みしめるも、怒りを押し込めたような声でデュークに問うザイード。

デュークはフッ…っと挑発するかのように口角を上げて笑う。





「そんなことは聞くまでもないことだろう。ご自身が来るまでもないと言うだけのこと」


デュークの話し方とどこか冷たい笑みに違和感を抱く。





「お前は何故この女を攫ったんだ」

「答える義理はない」


デュークは何が言いたいのだろうか…

質問の意図が分からない事に加え“この女”と言う口調がとても冷たかったことに不安が募る。





「隠さずとも良いではないか。この女が有する稀なるものが目当てなんじゃないのか?」


見事言い当てられたことにピクリと反応を示すザイード。

その反応を見てデュークが「図星か…」と呟いた。





「そうだとしたらどうだと言うのだ。この劣勢の中、この女を助けるとでも言うのか?」


一瞬は動揺を見せたものの、ザイードは本来の獰猛な笑みを浮かべながらそう言う。

しかし、デュークの反応はザイードの予想を裏切るものであった。