スッ…――――
「王はどうした」
ザイードがかざした手に兵士たちは一瞬にして黙り、不機嫌そうに歪められた表情に怯えを見せる。
シルバが来ると思っていたザイードにとってこれ以上の屈辱はないだろう。
対するデュークは落ち着き払った声で応える。
「王なら来ない」
「何故だ」
ギリッと悔しそうに唇を噛みしめるも、怒りを押し込めたような声でデュークに問うザイード。
デュークはフッ…っと挑発するかのように口角を上げて笑う。
「そんなことは聞くまでもないことだろう。ご自身が来るまでもないと言うだけのこと」
デュークの話し方とどこか冷たい笑みに違和感を抱く。
「お前は何故この女を攫ったんだ」
「答える義理はない」
デュークは何が言いたいのだろうか…
質問の意図が分からない事に加え“この女”と言う口調がとても冷たかったことに不安が募る。
「隠さずとも良いではないか。この女が有する稀なるものが目当てなんじゃないのか?」
見事言い当てられたことにピクリと反応を示すザイード。
その反応を見てデュークが「図星か…」と呟いた。
「そうだとしたらどうだと言うのだ。この劣勢の中、この女を助けるとでも言うのか?」
一瞬は動揺を見せたものの、ザイードは本来の獰猛な笑みを浮かべながらそう言う。
しかし、デュークの反応はザイードの予想を裏切るものであった。

