白銀の女神 紅の王Ⅱ




「目の前でお前を奪われ、悔しがる様をとくと拝見しようじゃないか」


ッ…やっぱり……

ザイードはシルバに“私”を帰すと告げてここへ呼び出し。

私の口からここに残ると言わせようとしているのだ。





「ベロニカ、国境付近の兵士に使いを出させろ」

「はい、ザイード様」


ベロニカは厳しい表情から一転して嬉しそうに答える。

走っていくその横顔は少し赤かった。




一方の私はそれどころではなかった。




シルバは私がここに残ると言ったら何て言うだろう。

私が裏切ったと思うのかな…

そう思うと心は重く沈んだ。





「せめて最後はしっかりと別れを告げるんだな」


フッと笑ったザイードを恨まずにはいられなかった。

愛する人に別れを告げるも同じ言葉を言わなければならない。

ズキズキと鈍い痛みが胸を襲う。



シルバに別れを告げる覚悟が出来ないままその日は過ぎて行った。