「その女には価値があるから連れてきたまでのことだ」
「価値?」
ザイードの言葉を繰り返す。
「あぁ、そうだ。お前が私の為に尽くすことを拒絶した時のための贄としてのな」
「ッ…!」
告げられた理由に息を飲んで衝撃を受ける。
「断ればこの女の命はない」
何て卑怯な……
私がこの国の為に能力を使い、この国の為に尽くすことを承諾しなければニーナの命がない。
承諾すればシルバの敵に。
断ればニーナの命がない。
考える暇もなく、ザイードは私に告げる。
「さぁ、選べ。私の為に力を使うか、この女を見殺しにするか」
私の心の内の葛藤などあざ笑うかのように答えを急かす。
「私は……」
迷いがあるままに口を開いた。
しかし次の言葉が出てこない。
すると、ニーナが私の手をギュッと握りしめて何かを訴える。
「んーんんッ…んん…っ…」
しかし口を塞がれているため何を言っているのか分からない。
必死に口を動かし何かを伝えようとしている。

