「私の能力を利用するため…」
「分かっているなら話は早い」
ポツリと呟いた言葉にザイードがニヤリと笑う。
やはり誘拐されたのは私の能力が目的だった。
しかし――――
色々と引っ掛かる部分がある。
いくら噂で私の能力の事が出回っていたとしても、国境を越えてまで伝わるだろうか。
しかも端から私を狙っていたかのようにその情報は詳しい。
だが、いくらなんでもさしたる手がかりもないままベロニカを私につけなかったはずだ。
「ひとつだけ聞きたいことがあります」
「言ってみろ」
恐る恐る口を開いたが、思いのほか機嫌のよい声が返ってくる。
「何故…私の能力の事を知っていたのですか?」
そう聞けば、壇上のザイードは何が面白いのかクッと喉の奥を鳴らして笑う。
何かおかしいことを聞いたのだろうか。
人を馬鹿にしたような笑い方をしたザイードにムッとする。
笑っていないで答えてほしい。
そう思って口を開こうとしていた時だった。
「それは私がザイード様へ申告したからですよ」
答えた声は意外なところから聞こえた。

